NZの富士山
ニュージーランド北島、オークランドとウェリントンのちょうど中間くらいの場所の西海岸に飛び出した半島をタラナキ地方と呼びます。
この半島の中心にそびえ立つ、海抜2,518mの山が Mount Taranaki(タラナキ山)です。
とてもきれいな円錐形の独立峰で、富士山にそっくりな姿かたちをしています。
そして、周辺一帯はEgmont (エグモント)国立公園として指定されていて、タラナキ山の頂上を目指す登山道はもちろん、他にもたくさんのトレイルが整備されています。
私たちは当初、Pouakai Circuit(ポウアカイサーキット)というタラナキ山のふもとを2泊3日程度かけて回るバックパッキングを計画していました。
このトレイルは、ふもとからいろいろな角度のタラナキ山の姿を楽しめることはもちろん、時間に余裕があれば途中で頂上に登ることも可能です。
また、サーキットの途中にある、Mount Taranaki Lake (マウントタラナキレイク、実際の名前はPouakai Tarnと言います) の水面に映るタラナキ山の景色は逆さ富士そのもので、是非見てみたいと思っていました。
ちなみに、この景色はロンリープラネットNZトレイル編の表紙にもなっています。
Lonely Planet Hiking & Tramping in New Zealand (Lonely Planet Travel Guide)
しかし、私たちが滞在していた時は天気が一日おきに変わり好天が続かなかったため、予定を変更して日帰りでピークハントをすることにしました。
Mount Taranaki Summit Track (タラナキサミットトラック)
- North Egmont Visitor Center(エグモント国立公園のビジターセンター)からタラナキ山の頂上をめざすトレイル
- ビジターセンターには大きな駐車場あり
- 水場はトレイル上にはなし
- 片道6.3km
- 標高差1,572m(946m→2,518m)
- 標準コースタイムは登り5時間、下り3時間程度
- DOCのグレードはAdvanced
- 途中のTahurangi Lodge までは整備された一本道、ロッジから先は階段が整備されており、この辺りまでは比較的簡単。
- 階段のセクションを超えると、そこからは富士山や北海道の旭岳のように砂礫の広大な尾根。足を取られながら登っていく。
- 頂上直下は険しい岩場となっており、雪渓を横断する場所もある。
- ガレ場や岩場にも等間隔にポールが立っていて、晴天時なら基本的に道に迷うことはない。ただし、悪天候時(特に濃霧の時なし)は全く方向が分からなくなる可能性もあるため注意。
ベースタウンはNew Plymouth(ニュープリマス)
南島でマウントクックを満喫した後は、クライストチャーチから北島のウェリントンまで飛行機で移動しました。
フェリーでの移動にも興味があったけど、飛行機のほうが値段も安くて時間もかからなかったし、フェリーの場合でも結局レンタカーは借りなおさないといけなかったり(多くのレンタカー会社で北島南島間のレンタカー移動は認められていません。)だったので、飛行機を選びました。
ウェリントン空港で再度レンタカーを借りて北島巡りに出発です。
海沿いをドライブし、ワンガヌイを経由してエグモント国立公園のベースタウンであるニュープリマスにやってきました。
この町では、Belt Road Seaside Holiday Park (ベルトロードシーサイドホリデーパーク)に滞在していました。
目の前には一面に海が広がっていてとても景色が良く、各サイトも芝生で青々としており快適です。
ホリデーパークとしての設備(シャワー、冷蔵庫付きのキッチン、雨の日もくつろげるTVルームなど)に不足はなく、町からもすぐの距離なので、食事や買い物などにも不自由しません。
また、パークから海岸に下りると、海沿いにCoastal Walkwayという遊歩道が整備されていて、ここを歩くのもとても気持ち良いのでおすすめです。
Coastal Walkway沿いにはニュープリマスの観光地として有名なWind Wandもあります。
タラナキ山トレッキングの様子
ニュープリマスには何日か滞在したのですが、1日中大雨の日があったりと天候は不安定で、なかなかポウアカイサーキットに出発するタイミングがありません。
そこで、サーキットは諦めて、晴天の日を狙って日帰りでピークハントをすることにしました。
タラナキサミットトラックは標高差1,572m、片道6.3kmとなかなか手ごわい登山です。
そのため当日は朝早くに出発します。
ベルトロードホリデーパークからノースエグモントビジターセンター(登山口)までは車で30分くらいです。
出発時は霧が出ていて、車から全然タラナキは見えず、だいぶヤキモキしていました。
でも天気予報は完全な快晴なので、信じて進みます。
車で山のふもとの緩やかな坂を登っていくにつれ、タラナキの姿が完全に見えてきましたた。
どうやら下界は霧で、山からは雲海が見えているパターンのようでした。テンションも一気に上がります。
駐車場についた頃には、朝日に輝くタラナキを見ることができました。
朝早かったのでビジターセンターはまだオープンしていませんでした。
標識を見て登山口を目指します。
ビジターセンターを出発するとしばらくは整備された木道。
その後しばらくは林道のような道がずっと続きます。
トレイル自体は退屈ですが、タラナキがずっと目の前にあるので楽しんで歩けます。
Tahurangi Lodgeに到着。このロッジはタラナキアルパインクラブが運営しており、宿泊には事前予約が必要です。
ここまで登山口から1時間20分でした。
ここからの道は林道ではなく、少し登山道らしくなります。
しばらく沢沿いを登ってロッジが下のほうに小さくなってきたころ、延々と続く階段が出てきます。数えてみたら430段とちょっと!
階段が終わるとここからは砂礫の尾根。足を取られながら一歩一歩進みます。
歩きずらい…
そして何よりこの日は超爆風!尾根上は何もないため全身にまともに風が吹きつけます。
シェルを着て、フードをかぶって、たまに耐風姿勢を取りながらじりじり進むしかありません。
前を歩いていたソロの女性はあまりの風の強さに「今日は天気最高だけどやめとくわ!」と言って引き返していきました。
かなりの時間をかけて砂礫帯を登り切りました。
岩場に少し座れるスペースがあり、みんな一息ついてます。私たちもお菓子休憩しました。
砂礫が終わると次は岩場の始まり。道なき道をポールを頼りにとにかく上に向けて登ります。
遠く向こうには、この後行く予定のトンガリロの山々が雲の上に浮かんでいました。
岩場が終わると、雪が残る火口が現れます。雪は柔らかく、アイゼンなどは不要でした。
ただし無数の落石跡があるので周りに注意して素早く通りすぎる必要がありそうです。
雪渓を登り切ったところ。ここから最後また岩場を上がれば頂上です。
頂上到着!登山口から4時間くらいです。爆風に悩まされたりしたわりには思ったより早かった。
独立峰らしく、360度のパノラマが最高!
ふもとに広がる樹海の様子が印象的でした。
グランドキャニオンのような大地の裂け目も。
頂上は途中の尾根ほど風は強くなく、ゆっくりできました。ただし、気温は低く寒い。
御飯を食べて英気を養ったら、いよいよ下山。
登ったからには下らないといけません。しかも行きと全く同じ道。
風が収まっていることを祈りながら降り始めました。
でもやっぱり登りと同じく、砂礫帯と階段はつらかったーー。
砂礫に足を取られては、何度も尻もちをつきました。下りは駆け降りるだけかと思っていただけに、意外と手こずりました。
下山した頃には夕方になって少し薄雲がでてきたものの、相変わらず天気は良く、
一日かけて登ったタラナキが黄金色のススキの向こうで堂々とそびえ立っていました。
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