日本での夏山縦走登山と基本的には同じですが、追加で特別に必要になるものがあります。
この記事ではJMT特有の装備について詳しく解説するとともに、私たちが実際にもっていったものの一覧をコメント付きで紹介しています。
JMTに特有の装備
まずはじめに、日本の登山ではあまりなじみの無い、JMT特有の装備を紹介します。
ベアキャニスター
熊が人間の食料を奪うことを防止するための食料保管ケースです。
強化プラスチックなどでできた筒状のケースで、熊が開けることができないように蓋の部分がひと工夫されています。
JMTが通っている国立公園や国有林の大部分で、バックパッキングをする場合は携行が義務付けられています。
キャンプの際には食料はもちろん食べた後のごみ、歯磨き粉、化粧品などにおいのするものは全て中に入れて、テントから離れたところに置いておく必要があります。
キャニスター単体で1㎏くらいの重量がある上に、ザックの容量を占領してパッキングの自由度を大きく奪う厄介者ですが、上手く付き合っていくしかありません。
おすすめはBearVault BV500という製品です。
キャニスターのなかでも比較的軽く、容量も1人当たりこれくらいは最低限必要です。
浄水器、浄水剤
JMTではジアルジアなどの病原体が理由で、日本の山のように川(沢)の水をそのまま飲むことはできません。
そのため、煮沸または浄水の必要がありますが、煮沸は燃料や手間のことなどを考えると全く現実的ではないので、浄水器や浄水剤が必要になります。
私たちのおすすめは、プラティパスの重力式浄水器です。
MSRなどのポンプ式は、ポンピングが結構大変な上に、浄水器自体が大きくかさばる傾向にあります。また、故障のリスクも高いようです。
重力式なら、木などに引っ掛けておくだけであとは勝手に浄水をしてくれますし(浄水スピードも想像より早いです)、本体もコンパクトです。
また、周りに引っ掛ける木などがなくても、岩の上に置いたりして高低差さえつければ十分浄水は可能です。フィルターのつまりも逆流させることで比較的すぐ直ります。
あとは、浄水器が壊れたときのバックアップとして浄水剤を持っておけば良いと思います。
バケツ
JMTではとにかく水が豊富なうえに空気も乾燥していてすぐ乾くため、毎日のように洗濯をすることができます。
ただしルールがあり、川や湖で直接洗濯することは禁止されています。
厳密な距離はエリア(国立公園や国有林)によって異なりますが、少なくとも水(川や湖)から100フィート(30m)以上は離れる必要があります。
そこでバケツが必要になります。
おすすめは、Sea To Summitの折りたたみ式バケツです。
折りたたむとコンパクト(10×10×3cmくらい)なのにもかかわらず、10Lの容量で必要十分な強度があります。水を入れれば自立もします。
スコップ
JMTではトイレに行く場合、穴を掘って埋めるルールになっているため、スコップが必要です。
こちらも厳密な距離はエリアによって異なりますが、トレイル、キャンプ場所、水辺のすべてから100フィート(30m)以上は離れる必要があります。
毎日使うものですし、あまりに簡易的なものだと地面が硬い時に穴を掘るのが大変なので、軽量コンパクトでかつ強度があるものがおススメです。
私たちは、アマゾンで見つけた金属製で折りたためるもの持って行きました。
虫よけネット
頭からすっぽりかぶるネットです。
蚊の多い時期に歩く場合は必須かもしれません。
ばぁは愛用していましたが、じぃはネット越しだと景色が良く見えないのが嫌で使いませんでした。
顔に虫よけをべたべたに塗るのが気にならなければ無くても大丈夫です。
虫よけスプレー
従来日本の虫よけは有効成分(ディート)の濃度が薄く効かないといわれていましたが、現在は日本でも30%くらいの結構な高濃度のものが売られていますので、効かないということはないでしょう。
ただし、ディートが高濃度のものはレインウェアなどが解けたりすることもあるようなので、道具にも体にも優しいピカリジン(イカリジン)を有効成分として使っているものが個人的にはおススメです。
また、スプレータイプよりもローションタイプのほうがムラなく塗り伸ばしやすく、効果も高い気がしました。
私たちはピカリジン20%のローションを使っていましたが効果は明らかで、しっかり塗っていれば蚊は寄ってきませんでした。
トレッキングポール
日本では使わない人も渡渉や雪のパス越えのため、1本は必ずあったほうがいいです。
私たちも日本では冬を除きあまり使いませんが、JMTでは何度となくトレッキングポールに助けられました。
服装
衣類
男女とも、半袖・短パンの人が多かったです。
私たちが歩いた7月後半から8月後半では標高が高い場所でも歩いていれば温度的には問題なく、蚊がひどいときくらいしか長ズボンは履きませんでした。
ただ、日差しが強いので長袖の日よけパーカーなどを着るか、首回りの日よけがついた帽子をかぶることを強くおススメします。
靴
靴に関しては、軽量なトレッキングシューズやアプローチシューズなどが最適です。
JMTは基本的に平坦な道が多く、急斜面を登るときも緩やかなスイッチバックが延々と続くことがほとんどのため、底がぶ厚くて硬い、日本でいうところの「登山靴」は歩きにくいです。
私たちが実際に持って行ったもの
上で紹介したJMTに特有の装備以外のものを紹介します。
- バックパック
ばぁ:オスプレーエーリエルAG 65L
じぃ:グレゴリーバルトロ 75L
オスプレーのエーリエルAG(男性用はイーサーAG)はおすすめザックです。
背面がウエストベルト部分も含めすべて一体型のメッシュになっており、蒸れないことはもちろん、体へのフィット感も抜群です。
- 履きなれた靴
ばぁ:キーン Verdi 2 Mid
じぃ:モントレイル Sierravada Mid
- 予備の靴紐
- テント
モンベルステラリッジ3
- テント用グランドシート
- 3シーズン用シュラフ
ばぁ:モンベルダウンハガー#2
じぃ:#3
10000ft(3000m)超えの標高が高い場所でも、寒くて寝られないことは無かったです。
- シュラフのインナーシーツ
モンベルウォームアップシーツ
- マット
サーマレスト Pro Lite
- 防寒着
ダウン上下、およびフリースなど化繊の上着。
ダウンは休憩時や就寝時に。
化繊の上着は、パタゴニアのナノエアなどの行動できる中間着がおすすめ。
- レインウェア上下
日本に比べると圧倒的に雨は少ないですが、必須です。
- 着替え
最初から着ていくものも含め以下の数を持っていきました。
やろうと思えばほぼ毎日洗濯できるので、最低限の枚数で良いです。
Tシャツ2枚、長袖シャツ(日よけパーカー)1枚、長ズボン1枚、短パン1枚、靴下3足、下着3着。
- パジャマ用のアンダーウェア、靴下
上記の着替え以外に、パジャマ用のアンダーウェア上下1着および靴下を持っていくと快適です。
アンダーウェアは、モンベルのジオラインライトウェイトを持っていきました。
パジャマ用途とはいえ登山用の吸水速乾のものを選ぶことで、いざというときは歩く時にも使えます。
- 洗濯ものを干すためのロープ
- タオル
速乾のものがよいです。
水に濡らして拭くだけで身体のべとつきも取れるファイントラックのナノタオルがかなりおすすめ。値段は高いけど価値はあります。
- 帽子
キャップやハットとニット帽の二つ。
歩くときとテントでくつろぐ時で使い分けると快適です。
- サングラス
シエラネバダの太陽はかなりまぶしいので必須。
- 手袋
薄手のインナーおよび雨具の手袋
ハーフドームに登る用の厚手手袋(スノーボードの春パークグローブを利用)
- ネックウォーマー
ネックウォーマーはバフなどの薄手のものをがあれば、日避けにも使えます。
- ハイドレーションやナルゲンなどの水筒
歩きながら飲めるハイドレーションがとにかく便利です。
私たちはこれに加えて、ナルゲンにスポーツドリンクを作って持ち歩いていました。
- ジェットボイルMiniMo
詳しくは食料計画の記事で述べましたが、JMTなどのロングトレイルでフリーズドライ食品をメインにする場合は、ジェットボイルが非常に有用です。
その中でもMiniMoはとろ火調理ができるので、これ一つあればほかにストーブやクッカーは要りません。
- ライター、防水マッチおよびファイヤースターター
- 箸やコップなどの食器類
- トイレットペーパー
リサプライバケツにも入れておくのを忘れずに
- コンビニやスーパーの袋、ジップロック数枚
行動食を入れたり、洗濯物を入れたり、ごみを入れたり。
- ガイドブック、地図、コンパス
おすすめのガイドブックや地図はこちらの記事をごらんください。
- ヘッドライト
- ランタン
- 時計
- カメラ
- カメラ替えバッテリー、モバイルバッテリー
- マルチツール
- 化粧品、日焼け止め、ボディクリーム、手指消毒ジェル、歯磨きなど生活用品
ボディクリームは必須です。シエラネバダはとても乾燥しているため、放っておくと手足はかさかさ、粉をふいて真っ白になってしまいます。
一日の終わりにクリームを塗ってから寝るのが良いでしょう。
- ファーストエイド(薬)セット
風邪薬、浄水剤、絆創膏、靴擦れパット、テーピング、目薬、爪切りなど。
- アタックザック
ハーフドームなど、サイドトリップに出かけるときに便利です。
- サンダル
渡渉時に安定するように、テバなどのストラップ式が良いです。
- 軽アイゼン
6月など早い時期に歩く場合や、雪の多い年はあると安心だと思います。
私たちが歩いた2017年夏も例年にない大雪だったので、持っていきました。
8月でも標高の高いパスなどは雪で完全にトレイルが隠れている個所もたくさんありましたが、雪は柔らかくて結局最後まで使うことはありませんでした。
- 身体用デオドランドシートやペーパーシャンプー
川や湖で体を洗うことができるので無くても困らないですが、寒い時や雨のときなど、外で体を洗えないときに使うと便利です。
- 本(キンドル)
山で本を読むのが好きな私たちには必携です。
キンドルだと150g程度の重量で、ロングトレイルの際にも十分すぎる量の本を持ち歩けます。もちろんガイドブックもキンドル版にしました。
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