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ジョンミューアトレイルのベストシーズンは?

シエラネバダの気候

ジョンミュアートレイル(JMT)のあるシエラネバダ山脈は、北米大陸沿岸部の気候区分である、地中海性気候の影響を受けます。
そのため、夏は暖かく乾燥している一方、冬は降水量が多く山では多量の雪が降ることで有名です。

夏の時期は、ヨーロッパのアルプス山脈や同じアメリカのロッキー山脈など世界の名だたる山域と比較しても、特に雨が少ないのが特徴です。
たとえ雨が降ったとしても数時間以内に止むことがほとんどであり、トレッキングという観点からは最高の気候といえます。

ただし、夏も中盤から終盤になるとモンスーンの影響で、午後から雷を伴った激しい雨が降ったり、落雷が原因で山火事が引き起こされたりといったこともあるため、注意が必要です。

一方、おおよそ11月から3月まで続く冬の間は、気温的にはそれほど寒くはないものの雪が深く、本格的な雪山登山やスキーツアーでしかJMTにアクセスすることはできません。

4月に入り春になると降雪自体は一段落しますが、標高の高い場所は未だ完全に雪に覆われたままです。
雪が解けてトレイルが顔を出し始めるのは、例年6月に入ってしばらくしてからになります。

従って、JMTのトレッキングシーズンは、雪の少ない年で6月中旬、雪の多い年だと7月中旬もしくは下旬に始まり、本格的に雪が降って積もりだす10月中旬には終わりを迎えることになります。

ベストシーズンの判断材料

トレッキングが可能なシーズンは6月中旬から10月中旬くらいまでですが、このなかで一番良いのはどの時期でしょうか。

天候と気温という意味では、シエラネバダの夏は毎日がベストシーズンと言っても過言ではありませんが、以下の3つの要素を考えることでより良い時期を決めることができます。

  • 残雪
  • 渡渉

残雪

例年、気温が一番高いのは7月から8月初旬にかけての時期で、7月初旬から中旬までにはトレイル上のほとんどの雪が解けます。

したがって、残雪をできるだけ避けるという観点からは7月中旬以降のスタートが良いということになります。

もちろん、雪の多い年は7月中旬以降でも雪が残り続けてトレイルが埋まっていることもありますので、その冬の降雪量次第で状況は変わってきます。

渡渉

渡渉の困難さは残雪の状況と密接に関係があり、通常の年であれば雪解けが盛んな6月下旬から7月初旬に一番川の水位が高くなり、この時期の渡渉は危険を伴うことが多くなります。

そして、おおよそ7月中旬以降になれば水位は落ち着いて、ほとんどの場所で問題なく渡渉ができるようになります。

蚊の発生に関しても雪解けの状況に左右され、通常は7月初旬が一番ひどく、7月下旬から8月初旬になると少しマシになり、8月中旬になるとほとんどいなくなるというのが大体の傾向のようです。

したがって、蚊を確実に避けるためには、8月中旬以降が良い時期になります。

まとめ

以上から、気温が高く、残雪の心配もほとんどなく、渡渉も容易で、蚊も比較的マシになってくる、7月中旬から8月中旬くらいに出発する行程がJMT一番のベストシーズンになるかと思います。

なお、少しでもトレイルに人が少ない時期を狙って、9月に入ってからの出発を計画する人も少なくないようです。

9月になると一気に気温が下がり、中旬頃には標高の高い場所で初雪が降ることも多いですが、積もることはあまりないので、寒ささえ我慢できればトレッキングに支障はないようです。

2017年、2018年の様子

私たちが歩いた2017年の夏は例年にない大雪の年で、7月初旬くらいだと主要なパス(峠)はもちろん、北部のセクションでは平地でも雪でトレイルの大部分が隠れている状態でした。

ヨセミテ国立公園の公式フェイスブックなどで、一面冬景色の写真を見るたびに心配になり、出発までの間やきもきしながら情報を集めていました。

実際にヨセミテをスタートしたのは7月下旬ですが、幸運なことに、この頃には一部の標高の高いパスなどを除いてほとんど雪は残っていませんでした。

また、雪が残っているといっても大体の場所で明瞭な踏み跡があり、雪も柔らかく、アイゼンがないと登れないような状態ではありませんでした。

ただし、出発直前まで雪が多く残っていたということは、歩いているときはちょうど雪解けのタイミングであるということで、靴を脱ぐ渡渉は数えきれないほど経験しました。

普段は靴を脱がなくてもいいんだろうな、というようなちょっとした場所でも結構な勢いで水が流れていました。
水もとても冷たく、長い距離を渡らないといけないときはかなりつらかったです。

そして、蚊についてはかなり悩まされました。

毎日のキャンプ地を選ぶ際は、蚊が少ないかどうかを一番の基準にしていました。
また、気温的には暖かく短パンで歩きたいのですが、蚊対策のため長ズボンを履くこともありました。
虫よけスプレーも大量に使い、途中のリサプライ時に買い足したほどです。

一方で、2018年の8月にJMTを歩いた友人の話によると、一度も靴を脱ぐ渡渉は無かったとのことでした。
2018年は記録的な猛暑で、大規模な山火事の発生によりヨセミテバレーが10日ほど閉鎖されたほどでしたので、雪解けも大分早かったのかもしれません。

また、どのパスにも全く雪がなく、蚊も一匹もいなかったとのことです。

このように状況は毎年変わるので、この時期なら間違いないというものはないかもしれませんが、この記事が計画の策定に少しでも参考になれば幸いです。

 

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