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ジョンミューアトレイルのルートプランニング

ジョンミューアトレイルは211マイル(340km)にわたって続くロングトレイルであり、スルーハイクには数週間かかるため、どのような行程で歩くのか事前にある程度プランニングしておくことが大切です。

プランニングにあたっての考慮事項

天候

ベストシーズンの記事でも述べましたが、シエラネバダの夏の天気はとにかく良好で安定しています。
そのため、日本での登山のように天気によって日程が大きく左右されるということはありません。

もちろん、夕立が降ることはありますが、短時間で終わるのが通常です。
夏は日も長いため、雨が降っているあいだは木陰で休息しておいて、そのあとまた歩き始めるといったこともできます。

トレイルの状態

ジョンミューアトレイルは、良く整備された平坦な道が続きます。
地図で見ると急な斜面にも、そのぶん距離は長くなりますが、ほぼ平らで緩やかなスイッチバック(つづら折れの道)が延々と続いています。

現地で出会ったフランス人のPCT(パシフィッククレストトレイル)ハイカーは、一日に30km進む時もあると言っていました。
しかも、彼の装備はウルトラライトではなく、日本でもごく一般的な縦走登山の装備です。

パス(峠)越え

ただし、パスは例外です。

JMTにはその道中に標高3000mを超えるパス(峠)が9か所ありますが、それらの前後には日本アルプスの登山道のような急斜面の登り下りが待っています。
ゴロゴロした岩場や、残雪の急斜面を長時間歩く場合もあり、一日に移動する標高差が大きくなって身体に負担がかかります。

そのため、パス越えはできるだけ午前中にするほうが良いと思います。

体力的に一番元気な朝のうちにパスの登り下りを持ってくることで、その日全体の行動が楽になるでしょう。

また、日本の夏山と同じですが、午後になると夕立とともに雷がくることも多く、このような時に標高が高く吹きっさらしで逃げ場の無いパスの周辺にいることは大変危険です。

もちろん、パスの前後は絶景が続いていますので、身体のコンディションの良い時に通過するほうがより一層楽しめるというメリットもあります。

リサプライ

リサプライをした直後は荷物が一気に重くなるので、長距離を歩くのは難しくなります。
逆に、次のリサプライ場所に近づくにつれ荷物はどんどん軽くなり、歩くのも楽になります。

一日に歩く距離と総日数

もちろん各人の旅のスタイルによって異なりますが、上の条件を総合的に勘案して、1日に10マイル(16km)くらい歩く計画をする人が最も多いようです。

JMTの総距離211マイル(340km)を1日あたり10マイルで割ると21日(3週間)となり、この日数が一般的にスルーハイク期間の目安とされています。

何日間でスルーハイクした!という点に重きを置いていたりする場合は別ですが、個人的には、1日10マイル / 21日間の行程でも少し急ぎすぎな気がします。

平坦な沢沿いの道や森の中を行く場合などは1日10マイルも全く無理ではありませんが、パス越えの日やリサプライ後の日などは歩く距離を7~8マイルに抑えるほうがよいでしょう。

結果、総日数は25日~28日くらいになり、これくらいが余裕を持ってJMTのスルーハイクを満喫するためのベストな期間だと思います。

せっかくアメリカまで行って憧れのJMTスルーハイクをするのに、時間を気にしてハアハア言いながら急いで駆け抜けるより、ゆっくりトレイルの景色や空気感を満喫するほうが良いのではないでしょうか。

早く目的地に着きすぎたと思っても、心配はいりません。
近くのピークにサイドトリップしてみたり、レイクで泳いだり、キャンプファイアーをしたり、洗濯をしたり、することや楽しみはいくらでもあります。

もちろん、ロングトレイルを歩ききるための戦略としても、たまには歩くのを早めに切り上げて体調を整えることは非常に大切です。

私たちも単純に日々の歩くマイル数のみを考えて行程を考えていましたが、トレイルのアップダウンや、空模様、その日の体調などによって、良くも悪くも実際は計画通りにならなかったので、余裕を持って日程を組んでおいてよかったと思いました。

天気が悪い時には無理せずにさっさと歩くのを止めることもできましたし、疲れがたまってきたなと思ったら翌朝の出発時間を遅らすこともできました。

また、ホイットニーでは1回目に登った時は天気が良くなかったので翌日もう一度リベンジで登ってみたり、というように自由気ままにゆっくりとJMTを満喫できました。

<「総距離」の注意点>

ちなみに、JMTの総距離211マイル(340km)にはサイドトリップはもちろん、リサプライのためにトレイルを離れてまた戻ってくる距離や、トレイル終点から下界の登山口までの距離などは含まれていません。
計画の際には、これら追加で歩く必要のある距離も考慮する必要があります。

私たちの実際歩いた距離も、211マイルにプラス35マイル(56km)くらいになりました。

プラス35マイルの主な内容は、ハーフドームへのサイドトリップ4マイル、リサプライ3回で合計14マイル、ホイットニーからホイットニーポータルへの下山11マイルなどです。

北向き?南向き?

シエラネバダ山脈を南北に走っているJMTは、北から南、南から北どちらの方向にも歩くことができます。

北のハッピーアイルから南のマウントホイットニーを目指すコースを「サウスバウンド」、逆に南から北を目指すコースを「ノースバウンド」といいます。

大体のガイドブックでは、サウスバウンドが勧められています。
私たちもサウスバウンドで歩きましたが、こちらを選んで良かったと思いました。

サウスバウンド(南向きコース)がおすすめな理由

  • 高度順応が楽

サウスバウンドの出発地点、ハッピーアイルの標高は4034ft(1229m)です。
ここからゆっくりとヨセミテ国立公園の中を歩きながら標高を上げていき、最初の10000ft(3048m)越えの地点であるドノヒューパスまでに、距離で36マイル(57km)、およその日数で5日~6日あります。

その後、より標高の高いパスが順次現れて最後のゴールがアメリカ本土最高峰のマウントホイットニーとなるといった具合に、歩くにつれトレイルの標高が上がっていきます。

他方、ノースバウンドの場合、登山口ホイットニーポータルの標高は8352ft(2545m)です。
そのうえ、出発して2日後には、14494ft(4417m)のマウントホイットニーのピークに立っている予定です。
このような急激に標高が上がる行程では、高度障害がいつ出てもおかしくありません。

高山病については、ネパールでエベレスト街道トレッキングをしたときの記事に詳しく書いていますのでご覧ください。

  • 景色がよりダイナミックになっていく。

ヨセミテから出発したあたりは、花崗岩の山々や草原と湖などの比較的穏やかな景色が続いています。
そして、南に向かえば向かうほど、鋭い岩山や氷の残る高山湖、何もない荒野のようなプラトーなど、荘厳な風景に変わっていきます。

山の景色なので好みはもちろんありますが、個人的にはMTR(ミューアトレイルランチ)より南の、荒涼としているけれども美しい景色がいまでも強く心に残っています。

  • トレイルを歩いているときに出会う人が少ない。

多くの人がサウスバウンドで歩いている(同じ方向に向かっている)ため、すれ違う人が少なく比較的静かな山旅が楽しめます。

ただし、旅を始めてすぐのヨセミテ~マンモスのあたりはその交通アクセスの良さから、どうしてもトレイル上に人が多いです。

しかし、南に向けて歩く日数を重ね、トレイル生活に慣れてゆくにつれ段々と人が少なくなっていき、静かなJMTを楽しめるようになるところもサウスバウンドの良い点だと感じました。

パーミット取得との関係

なお、以前はサウスバウンドの利点として、ホイットニーポータルから出発するノースバウンドのパーミットよりもヨセミテから出発するサウスバウンドのパーミットのほうが取りやすい、ということも理由のひとつとして挙げられていたようです。

マウントホイットニーはアメリカ本土の最高峰であり、日本でいうと富士山のようなものなので登りたい人も多く、登山口であるホイットニーポータルのパーミットは競争率が高くて有名です。

そのため、相対的にはヨセミテ出発のパーミットのほうが取りやすい、という状況があったようです。

しかし、2015年にドノヒューパスを通ってヨセミテ国立公園から外のエリアに出ることのできる人数が1日45人に制限される  “exit quota” の仕組みが導入されてからは、サウスバウンドのパーミットに関しても競争率が劇的に上がりました。

従って、現在では、サウスバウンドのほうがパーミットが取りやすいということはほぼ無いと思います。

実際、オニオンバレーで出会ったノースバウンドの中国人スルーハイカーのペアは、ヨセミテ出発のパーミットは一切当たらなかったけど、ホイットニーポータル出発のパーミットに応募してみたら結構すんなり当たったと言っていました。

なお、パーミット取得方法の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

私たちの27日間の行程

実際に私たちが歩いた27日間の行程はこちらをご覧ください。

ジョンミューアトレイル~歩いた軌跡~総距離400㎞
2017年の夏に、27日間かけてジョンミューアトレイルを歩きました。実際に歩いた行程は下の表をご覧ください。おおよそ21日程度でスルーハイクするのが一般的な行程のようですが、私達はもともと歩くのが早くないのと、せっかくPermitが取れたのに急いで歩くこともないか!ってことで、ゆっくりとJMTを楽しんできました。

 

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